涙は目の表面を覆い、乾燥や異物から守る重要なバリアの役割を果たしています。ドライアイは、この涙の量が減少したり質が不安定になることで、目の表面に障害が起こる病気です。

近年は、パソコンやスマートフォンを長時間使用することによってまばたきが減り、若い世代でもドライアイが増えています。一方で、加齢による涙の分泌機能や粘膜の衰えも大きな要因であり、50歳以上ではドライアイのリスクが高まることが知られています。臨床の現場でも、中高年層の受診者が多いことが報告されています。

日本におけるドライアイ患者数は推定で約2,200万人とされており、幅広い年代に影響を及ぼす身近な病気です。誰でも発症する可能性があるため、生活習慣の工夫や早めの受診による適切な治療が重要です。

ドライアイの症状

• 目が乾いてゴロゴロしたり、かすんで見えることがある
• 光に敏感になり、まぶしく感じやすい
• 充血や目やにが出て、不快感が続く
• まぶたがピクピクとけいれんしたり、痛みで目を開けにくいことがある
• 目の不調で仕事や勉強に集中できない

ドライアイの原因は多岐にわたります。代表的な非可変リスクとして、加齢（特に40歳以上）や女性の性が挙げられます。
さらに、デジタルデバイスの長時間使用に伴う瞬きの減少、乾燥空間や空調・送風下などの環境要因、コンタクトレンズの装用、喫煙、特定薬剤の副作用、自己免疫疾患（例：シェーグレン症候群）、あるいはアレルギー体質による涙や油分の減少などが関与します。
加えて、糖尿病や皮膚疾患、栄養不足（ビタミンAやオメガ-3脂肪酸）なども発症の背景となることがあります。

眼精疲労は、一時的な疲れ目とは異なり、長期間にわたって改善しにくい特徴があります。
肩こりや頭痛、吐き気などの全身症状を伴うこともあり、別の病気が隠れている場合もあります。
自然に回復することはほとんどないため、生活習慣や環境の見直しが大切です。
気になる症状がある方は、お早めに当院へご相談ください。

40歳代に入ると、近くの文字がぼやけたり、ピントを合わせるのに時間がかかると感じることがあります。
これは加齢による調節力の低下、いわゆる老眼（老視）のサインです。特に夕方や暗い場所では目の疲れを自覚しやすくなります。
よく耳にする「老眼鏡を使うと進行が早くなる」という説は誤解で、科学的根拠はありません。
むしろ矯正をせずに無理を続けると、かえって目に負担を与えます。
ご自身の状態に合った老眼鏡や遠近両用眼鏡を使うことが、快適な視生活につながります。